商品開発ストーリー ~国産原料にこだわった加工食品を開発し、「食の外部化」に対応~

近年、有職女性の拡大、単身世帯、夫婦高齢者世帯の増加など、世帯構成の変化がすすみ、食の外部化、簡便化が進展している。
量販店における食料品の売上も、原料・素材に代わり、惣菜やカット野菜、加工食品などの調理済み商材の構成比が年々高まりつつある。
当社は、創業以来の事業の柱である青果物の店舗売場への供給について、このような消費者ニーズの変化をふまえた検証と対策を講じ、変化に対応した「あらたな需要」を創造し、国産青果物マーケットの維持、拡大を図る必要に迫られている。

Chapter 1 加工食品の商品開発

現在流通している加工食品は、消費者の低価格志向を反映し、安価な輸入青果物を主原料にした値頃な価格帯での販売が主流となっている。この成熟したマーケットに対し、国産青果物は価格面で折り合いがつかない場合が多く、使用は一部にとどまっていた。このため、「あらたな需要」の創造には、当社自らが既存の加工食品とは異なる視点で、国産青果物の価値を損なわずに商品開発する必要があった。そこで小規模ながらも野菜本来の食感、風味を維持したまま調理加工する高い技術を有する食品メーカーをパートナー企業に選定し協同で商品開発をすすめた。

Chapter 2 国産原料ならではの商品特徴

葉物類のカット需要が拡大している中、下処理に手間のかかるごぼう、イモ類などを使用した和惣菜の需要をターゲットに設定し、商品開発をすすめた。国産青果物最大のアピールポイントである安全性に配慮し、調整剤の使用を最小限にすること前提とし、また加熱温度と加熱時間の調整により、野菜本来の風味・食感にくわえ、可能な限り栄養素の損失を抑える工夫を施した。
さらに製造工程の研究開発により、常温での陳列・保存を可能にし、青果売場で原料・素材と併売することで、消費者の日々の事情による選択肢の拡大に繋げた。

食品メーカーでの製造風景

「みんなのやさい」けんちん汁・豚汁用の完成品

Chapter 3 「みんなのやさい」の誕生

こうして完成した加工食品は当社のオリジナル商品として取扱い、「みんなのやさい」と銘打ち、商標を取得した。
価格反映された国産青果物の価値を正当に評価いただける生協、量販店、外食企業、などへの営業をすすめるとともに、2016年度に新設した商品開発担当部署が中心となり、引き続きマーケティングにもとづく商品開発(シリーズ化)に取り組んでいく。

「みんなのやさい」ビジネスモデル

一般的な機能比較

  長 所 短 所
チルド食品 ・栄養価の損失が少ない ・常温保存できない(10℃以下)
水煮食品 ・常温で1~4か月保存可能 ・水さらしによる栄養価の損失
レトルト食品 ・常温で6~12か月保存可能 ・高温処理により食感や香り、色が劣化
「みんなのやさい」 ・常温で150日保存可能
・安全・安心な国産原料を使用
・野菜のうまみを含んだ液ごと調理可能
・国産原料使用により割高